学部2011年度(一橋大学)学部後期ゼミナールシラバス
■ゼミの研究分野・領域、研究テーマなど
政治学、現代日本政治論、日本政治外交史
■ゼミの概要(内容・運営・特色など)
このゼミの目的は、参加者が現代の日本政治を政局的な見方ではなく、歴史や比較など幅広い視野から捉えられるようになることです。現在の日本政治を歴史的なアプローチから読み解く、あるいは戦後日本政治の歴史的展開を現在の視点から考察する。そして、比較政治や経済・社会に関する文献も参照しながら、日本政治を多角的かつ構造的に理解することを目指します。
今年度のテーマは、「デモクラシー(民主政治)の現代的変容」です。昨年の政権交代にみられるように、日本のデモクラシーは大きな変化のなかにあります。中長期的な歴史やヨーロッパ諸国などとの比較をまじえながら、選挙制度、政治資金制度、政治家のリクルート、政党組織、政党システム、政党と官僚の関係、政党と社会団体の関係、有権者の意識、市民の政治参加、マスメディアの役割、イデオロギーと政策など、多様な視点から分析を試みます。
3年次は文献講読が中心ですが、知識を摂取するだけでなく、批判的に読み込み、討論を行います。それを通じて参加者が自らの考えを深め、4年次に執筆する卒業論文のテーマを見出していきます。卒業論文の内容は政治に関わる限り幅広く認めますが、 3年次の段階で準備的なレポートをまとめてもらうことを考えています。前任校では、ゲスト・スピーカーを招いたり、夏休みに合宿を行ったりしていました。ゼミ生の希望によりますが、三商大ゼミへの参加を含めて、積極的に考えたいと思います。
ゼミは学問の共同体であり、それを構成する全員で作り上げていくものです。多様な学生が集いながらも一体感を有し、討論を通じて切磋琢磨するゼミを目指したいと思います。新聞に毎日目を通すなど広く社会に関心を持ち、将来に向け社会科学的な思考方法を身につけたいという学生を歓迎します。
■使用するテキストなど
ゼミ生の関心を聞いた上で最終的に決定しますが、例えば以下の文献が候補として挙げられます。
・野中尚人『自民党政治の終わり』ちくま新書、2008年。
・吉田貴文『世論調査と政治』講談社+α新書、2007年。
・田中愛治ほか『2009年、なぜ政権交代だったのか』勁草書房、2009年。
・御厨貴編『変貌する日本政治』勁草書房、2009年。
・網谷龍介ほか編『ヨーロッパのデモクラシー』ナカニシヤ出版、2009年。
・デヴィッド・ハーヴェイ(渡辺治監訳)『新自由主義』作品社、2007年。
・コリン・クラウチ(山口二郎監訳)『ポストデモクラシー』青灯社、2007年。
■卒業論文タイトル事例
■ゼミナールの選択に参考になるような主要な著書・論文
詳しくは下記のウェブサイトを参照していただければと思いますが、主なものは次のとおりです。
・「市場競争型デモクラシーへ」(『現代思想』2009年10月)。
・「政権選択のその先へ」(『世界』2009年9月)。
・「日本の労働政治」(新川・篠田編『労働と福祉国家の可能性』ミネルヴァ書房、2009年)。
・『日本労働政治の国際関係史』岩波書店、2008年。
・『一九五五年体制の成立』東京大学出版会、2002年。
・『経済復興と戦後政治』東京大学出版会、1998年。
■選考方法、学生への要望・注意、など
面接を行います。志望理由や自分の関心について1200字程度でまとめ、面接の前日までに電子メールで送信してください。ゼミについて質問あるいは相談したい方は、4月以前にも応じますので、遠慮なくご連絡ください。
■相談日など
■オープン・ゼミの実施予定など
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