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学部2020年度(一橋大学)学部後期ゼミナールシラバス
■ゼミの研究分野・領域、研究テーマなど
政治学、現代日本政治論、日本政治外交史
■授業科目の概要(目的と到達目標)
ゼミの目標は、参加者が現代の日本政治を政局的な見方ではなく、制度・歴史・比較などを手掛かりとして、多角的かつ構造的に捉えられるようになることです。
毎週のゼミは、3年生と4年生の合同で、火曜日の4・5時限に実施します(遅い時間にはなりません)。文献講読が中心ですが、たんに知識を摂取するだけでなく、批判的に読み込み、討論を行います。そのようにして参加者が自らの考えを深め、4年次に執筆する卒業論文のテーマを見出していきます。
そのほか、例年、他大学との合同ゼミ、国会・政党本部や新聞社・テレビ局の見学、国会議員、ジャーナリストなどとの意見交換の機会を複数回、設けています。また、ゼミ生の希望によりますが、夏休みに合宿を行う予定です。
■授業の内容
今年度のテーマは、「岐路に立つ日本と世界の民主主義」です。日本では2009年、自民党から民主党に本格的な政権交代が行われましたが、様々な点で失敗に終わり、2012年に自公政権が復活しました。二大政党化の傾向が崩れ、自民党「一強」と呼ばれる状況が生まれた結果、長期政権の下での様々な弊害が生じています。その一方で、無党派層が増大し、ポピュリズムの潜在的な可能性が増大しています。欧米諸国に目を向けると、アメリカのトランプ大統領の政治手法やイギリスのEU離脱にみられるように、民主主義の空洞化、(左右の)ポピュリズムの台頭といった現象を看取できます。
中長期的な歴史や欧米諸国などとの比較を踏まえつつ、選挙制度、政治資金制度、政治家のリクルート、政党組織、政党システム、政治家と官僚の関係、政党と社会団体の関係、有権者の意識、市民の政治参加、マスメディアの役割など、多様な視点から日本政治の分析を試みたいと思います。なかでも日本の政党政治と欧米諸国のポピュリズムの分析に力点を置きます。
■使用するテキストなど
参加者の関心を聞いた上で最終的に決定しますが、例えば以下の文献が候補として考えられます。費用の面などを考えて、可能な限り新書を使用します。入手は各自で行っていただきます。
・水島治郎編『ポピュリズムという挑戦』岩波書店、2020年。
・レビツキー/ジブラット『民主主義の死に方』新潮社、2018年。
・ヤシャ・モンク『民主主義を救え!』岩波書店、2019年。
・山口二郎『民主主義は終わるのか』岩波新書、2019年。
・金成隆一『トランプ王国2』岩波新書、2019年。
・三春充希『武器としての世論調査』ちくま新書、2019年。
・田辺俊介『日本人は右傾化したのか』勁草書房、2019年。
・待鳥聡史『民主主義にとって政党とは何か』ミネルヴァ書房、2018年。
・中北浩爾『自民党―「一強」の実像』中公新書、2017年。
・吉田徹『「野党」論』ちくま新書、2016年。
■相談日など
■オープン・ゼミの実施予定など
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