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学部2021年度(一橋大学)学部後期ゼミナールシラバス
■ゼミの研究分野・領域、研究テーマなど
政治学、現代日本政治論、日本政治外交史
■授業科目の概要(目的と到達目標)
このゼミの目標は、参加者が現代の日本政治を政局的な見方ではなく、制度・歴史・比較などを手掛かりとして、多角的かつ構造的に捉えられるようになることです。
毎週のゼミは、3年生と4年生の合同で、火曜日の4・5時限に実施します(遅い時間にはなりません)。文献講読が中心ですが、たんに知識を摂取するだけでなく、批判的に読み込み、討論を行います。そのようにして参加者が自らの考えを深め、4年次に執筆する卒業論文のテーマを見出していきます。
そのほか、例年、他大学との合同ゼミ、国会・政党本部や新聞社・テレビ局の見学、国会議員、ジャーナリストなどとの意見交換の機会を複数回、設けています。文献講読だけでは、政治をリアルに捉えることができないという考えからです。また、ゼミ生の希望によりますが、夏休みに合宿を行う予定です(残念ながら、今年度の合宿はコロナ禍で難しいと思います)。
■授業の内容
今年度のテーマは、「日本の政党デモクラシーの現在」です。日本では2009年、自民党から民主党に本格的な政権交代が行われましたが、様々な点で失敗に終わり、2012年に自公政権が復活しました。二大政党化の傾向が崩れ、自民党「一強」と呼ばれる状況が生まれた結果、長期政権の下での様々な弊害が生じています。その一方で、無党派層が増大し、ポピュリズムの潜在的な可能性が増大しています。
中長期的な歴史や欧米諸国などとの比較を踏まえつつ、選挙制度、政治資金制度、政治家のリクルート、政党組織、政党システム、政治家と官僚の関係、政党と社会団体の関係、有権者の意識、市民の政治参加、マスメディアの役割など、多様な視点から日本政治の分析を試みたいと思います。
2022年度は、グローバル化をはじめとする国際秩序の変容、地方政治、アメリカ・イギリスといった欧米諸国の現状など、より幅広い観点から政治を分析する予定です。それを前提として、本年度は日本の国政、とりわけ政党政治を中心に、官邸主導の政策決定などを含めて深く勉強していく予定です。
■使用するテキストなど
参加者の関心を聞いた上で最終的に決定しますが、例えば以下の文献が候補として考えられます。費用の面などを考えて、可能な限り新書を使用します。入手は各自で行っていただきます。
・竹中治堅『コロナ危機の政治』中公新書、2020年。
・待鳥聡史『政治改革再考』新潮新書、2020年。
・待鳥聡史『民主主義にとって政党とは何か』ミネルヴァ書房、2018年。
・清水真人『平成デモクラシー史』ちくま新書、2018年。
・高安健将『議院内閣制』中公新書、2018年。
・中北浩爾『自公政権とは何か』ちくま新書、2019年。
・吉田徹『「野党」論』ちくま新書、2016年。
・土居丈朗『平成の経済政策はどう決められたか』中公選書、2020年。
・野中尚人ほか『政策会議と討論なき国会』朝日選書、2016年。
・大山礼子『日本の国会』岩波新書、2011年。
・加藤秀治郎『日本の選挙』中公新書、2003年。
■相談日など
■オープン・ゼミの実施予定など
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